東京下流人日記|ワーキングプア脱出をめざす自宅警備員の生活と意見、時事議論、書評など

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役人の役人による役人のための制度、これは改革すべきだ。

|2014年12月10日 22:15| 個別ページ | コメント(0) | トラックバック(0)
晋遊舎新書
バカヤロー経済学
竹内薫

経済学の素人、理系人間のサイエンス・ライター竹内薫氏が、経済学の先生からレクチャーを受けるという内容。先生は匿名であるが、高橋洋一であることが後に明かされている。

前半は経済の話である。経済政策として重要な事は、日銀が緩和することである。この本はやや古いため、白川総裁を批判している。しかし、現在、黒田総裁になって、いわゆる黒田バズーカが発射されているから、政策的にはめでたしめでたしである。

だが、めでたしめでたしは、そこまでである。

経済理論上、重要なものは、マンデル・フレミングの法則である。マトリックスにして説明している。財政政策をおこなうにはお金が必要です。だから、財務省は国債を発行して借金する。そうすると政府にお金が入って、民間市場のお金が減るから、金利が上がる。ここまでが前提。ここからだが、(1)固定相場制では通貨価値の維持が必要であるため、金利を下げる政策を取る。よって、内需が拡大することだけが残るから、財政政策の効果はある。(2)変動相場制では金利が上がってもそのまま。そうすると円を買う人がふえて円高になる。その結果、輸出が減って、輸入がふえる。せっかく内需拡大しても、財政の効果は海外に流れてしまう。

このように、マンデル・フレミングの法則が、現在の日本において、財政の効果がないことの根拠としてあげられている。これは理論上重要である。マンデル・フレミングの法則が本当に正しいのかどうか、私にはよくわからない。が、この本の初心者向けの説明を読む限り、それなりの正しさはあるように思われる。ただし、もし正しいとすれば、現在、多くの先進国で変動相場制が採用されているため、そこではすべて財政は効かないという帰結になる。そうすると、不況の先進国はマネタリー政策でどんどん緩和し、緩和競争になるだろう。それでいいのだろうか。

後半は、経済というよりも、官僚批判になっている。官僚がいかにあくどいか、いかに自分たちの利益を増大し、国民に対して背信行為をくり返しているかが、これでもかと強調される。元官僚の高橋洋一氏の真骨頂である。

高橋洋一氏の力強い官僚批判を読むと、たしかに官僚が悪いことがよくわかる。日本は公務員改革をしなければならないことがよくわかった。

●地方分権について
財務省は「地方分権も大事ですが、年金も大事ですよね。じゃあ年金の安定化を図るために、一部だけ消費税を使いましょう」って言うの。でも実はこれ、消費税を国の財源として確保したい財務省の陰謀なんですよ。財務省にしてみれば、お金を差配することがパワーの維持になるの。そのためには、お金を吸い上げて配るっていうのが一番。お金は一度財務省を通す、この思想だけは絶対に譲らないから。

●規制緩和とグローバル化
小泉さんの規制緩和は新自由主義ってよくいわれるけれど、世界が規制緩和の方向に動いたとき、それに合わせたほうが楽でしょ。本当は、そういう話にすぎないの。海外には規制がないのに、日本だけ規制だらけになったら、企業はみんな自由がきかないから、外に出て行っちゃうじゃないですか。規制緩和は受け入れざるをえない状況だったんです。

●安倍さんは前の総理のとき公務員改革をやろうとしたが、つぶされた
安倍さんが総理になって何をやったかというと、霞ヶ関をぶっ壊せ的なことをしちゃったんだよね。一番最初にやったのが、財務省・総務省の税制調査会に切り込んだこと。税制調査会ってこれはもう、官僚の隠れ蓑。学者と呼ばれる人たちにお願いして、官僚が動きやすい報告を出すための審議会だったの。それまでの税制調査会の会長は、一橋大学で学長をやっていた石弘光さんっていう人だったの。もうコッテコテの御用学者で、財務省の意向に従う人って有名だったんだよ。

●ちょっとここで、官僚支配に関する問題点を挙げておくと、官僚内閣制、天下り制、中央審議会という三つがあるんです。まず、官僚内閣制というのは、官僚が内閣を支配していること。次に、天下り制というのは、官僚が民間を支配していること。最後に、中央集権制というのは、官僚が地方を支配しているということ。で、この三つの問題に共通することが「役人の役人による役人のための制度」だったことなんです。

●総合評価
この本は素晴らしい。みんなに読んで欲しいと思う。高校の政経の副読本にしてほしいですね。

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