東京下流人日記|ワーキングプア脱出をめざす自宅警備員の生活と意見、時事議論、書評など

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リフレが日本経済を復活させる

|2014年5月30日 21:53| 個別ページ | コメント(0) | トラックバック(0)
『リフレが日本経済を復活させる』岩田規久男、浜田宏一、原田泰ほか
中央経済社

少し前に話題になった本である。

この本が出たのは、アベノミクスがはじまった直後である。日本は長く異常なデフレに苦しみ、民主党政権でそれは最大の苦しみとなり、多くの国民を苦しめた。そのひとつの原因は、白川前日銀総裁の金融政策にある。安倍晋三が第二次安倍内閣を組閣してすぐ、アベノミクスを宣言し、日銀の金融政策を変更することを宣言した、そして、黒田東彦を日銀総裁に任命した。日銀の政策は180度変わり、金融緩和をすすめ、インフレ目標を2%に定め、デフレの解消をめざすことになった。

この本は、白川前総裁が辞職する2013年3月19日の前日に発行された。つまり、白川時代にかねてより金融緩和の政策を主張してきたいわゆるリフレ派の面々が書いた本であり、いうなれば白川体制打倒のマニフェストであり、その後のアベノミクスの金融政策の理論的バイブルである。 著者は第二次安倍内閣の内閣府参謀に就任した浜田宏一、日銀の副総裁に就任した岩田規久男など、リフレ派が並んでいる。そのリフレ派の長く粘り強い主張の 結果、彼らは第二次安倍内閣の成立と同時に勝利したといっていい。これはあたかも、フリードマンのマネタリズムがなかなか理解されなかったが、1970年 代のスタグルレーションにより、急に主流派に踊りでたことを思い起こさせる。

この本は、そうした熱い思いが込められている。白川時代の金融政策がいかにダメだったか、よくわかる。白黒はっきりさせるという意味で、素晴らしい本である。ただ、率直な感想を述べると、この本ではリフレについて詳し く述べられているが、なぜリフレが効くのかは理論的には必ずしも明確ではない。この本を読んでも、すっきりした答えはなかった。貨幣数量説を採用すれば、 デフレ状態において貨幣をふやせばインフレになるのは当然であるが、それは物価水準が変わるだけで、実体経済には何ら影響を与えないようにも思える。厳密 な貨幣数量説では貨幣は中立であり、なぜ景気がよくなるのか、説明はできない。この点についての説得的な理論が、リフレ派の論争には欠落している。それによって、反リフレ 派に決定的な打撃を与えることはできないという結果になっている。

なぜ、リフレで景気がよくなるのかという問題はきわめて興味深い。ただ、この本で説明されている理屈では、どうも理論的なスマートさに欠ける。もっといい説明があるのではないか。筆者の貧相なアタマではさっぱりわからないが、飯田泰之さんあたりに考えてもらいたい問題である。つまり、リフレ派にはまだまだやるべきことが残っている。


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