書評『格差社会 何が問題なのか』橘木俊詔
第1章 格差の現状を検証する
第2章 「平等神話」崩壊の要因を探る
第3章 格差が進行する中で―いま何が起きているのか
第4章 格差社会のゆくえを考える
第5章 格差社会への処方箋―「非福祉国家」からの脱却
岩波新書の『格差社会 何が問題なのか』を読んだ。
まじめに、ていねいに書かれた本である。
この本よりも前に『日本の経済格差 所得と資産から考える』において、格差論をリードしてきた橘木の本である。
前著のときは、格差なんかないと思っていたのだが、それから状況がかなり変わった。私も格差はあると思って読んだのだ。
格差の問題は、ひとつには貧困の問題である。貧困の問題が日本ではかなり深刻になっている。
もうひとつは、派遣など非正規雇用の増大の問題である。非正規雇用は期間が終わると解雇されやすく、不安定であり、なおかつ賃金も安い。この非正規雇用がふえているのだ。
つまり、正社員についてはとくに格差は問題ではないように思われる。正社員からはずれる人がふえているのだ。
橘木の立場は、かつて日本は平等な国であった、その平等がこわれてけしからんというものである。しかし、その立場には異論があるだろう。格差は悪くないという意見も多い。私もそう思う。
格差のない社会を無理してつくるよりも、もっと自由で、なおかつ競争がある社会のほうがいい。
その前提にあるのは、戦後の日本社会が不自由で、競争がなく、息苦しいという思いがある。おそらく、橘木はそう感じていないだろう。戦後日本を肯定しているものと思われる。
結局、格差に対してどういう態度を示すのかは、戦後日本を肯定するのか、否定するのかというところにかかっている。私が思うに、橘木が思うほど、肯定論者は多くないと思う。日本を変えたいという人は案外多いのではないか。
このように格差については立場が分かれてしまう。したがって、問題の切り口を変えて、「貧困」にしたほうがいいのではないか。あるいは「非正規雇用」の問題に限定するとか。「格差」を論じるとどーしても、戦後日本に対するイデオロギー論争になってしまって、生産的ではないと思う。
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格差社会―何が問題なのか (岩波新書) 橘木 俊詔 岩波書店 2006-09 コメント:総論賛成、各論はところどころ「?」 コメント:二極化する社会と新たな貧困の発生 コメント:「格差」論の決定版...とまでは言えないか... コメント:自分でエモーショナルなと書いちゃいかん コメント:勉強になりました |
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