東京下流人日記|ワーキングプア脱出をめざす自宅警備員の生活と意見、時事議論、書評など

HOME
東京下流人日記

大学院を出た高学歴貧乏さん

|2007年12月22日 02:31| 個別ページ | コメント(0) | トラックバック(0)

大学院の博士課程を出ても、就職できない人はけっこう多く、せっかくの高学歴を生かせないままにワーキングプア化しているという現実はあまり世間に知られていない。そうした事実を世に知らしめる本が出た。


高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書)
水月 昭道 光文社
2007-10-16

じつは、私も修士を出ており、いまもときどき大学院に顔を出しているので、オーバードクターの知り合いは多く、多少、事情はわかる。博士課程(正確にいうと後期博士課程)を出ると、通常27歳であるが、そこですぐ就職できることはまずない。理系のことはよく知らないが、人文系ではほぼ不可能である。そうした人を救済するために、学術振興会という制度があるが、そこも狭き門である。

『高学歴ワーキングプア  「フリーター生産工場」としての大学院』によれば、その責任は文部科学省にあるという。しかし、私は少し見方がちがう。

社会が高度化するなかで専門知識の高度化は避けられない流れであるから、大学院進学者をふやすことは必然である。したがって、大学院、大学院生の量産は正しい。そして、たくさんの院生のなかから、きびしい競争によって選抜をおこない、優秀な者をポストにつけるという方法も正しい。Jリーグをみればわかるが、裾野が広いほど、頂点は高い。

問題は、競争で敗れた者に、相当の地位を与えることができない点にある。つまり、博士課程を出た人がアカデミズムの道から他の道へとルートチェンジするとき、そういう高学歴者が一般企業に就職できないことに問題がある。

就職が困難な理由は、博士課程を出た人に能力が足りないからではない。企業が終身雇用をとり、新卒の一斉採用という世界に例をみない制度をとっていることにある。この制度は、世界中で日本だけがとっている特殊な慣行である。一斉採用をとるため、大学卒就職時に22歳というのが標準であり、年を食った異質な人は排除される。

したがって、博士課程を出た人(とくに人文系)には一般企業への就職の道は閉ざされている。こうした企業の閉鎖性が問題の根本にある。つまり、雇用に関して日本には市場原理が働いていない。にもかかわらず、どんどん院生を増やして競争させても、市場が閉ざされているから、敗者の行くべき場所がない。その結果、博士課程卒はつぶしが効かないということになる。唯一可能なのは、塾の教員、予備校の教員だろう。


次の記事 → ネットカフェ難民――豊かさを享受できない日本。
前の記事 ← 借金を踏み倒すと警察に捕まるのか。

コメントする
名前

電子メール

URL

ログイン情報を記憶


自宅警備員
NAME:蝉丸
PROFILE:自宅警備員

RSS